相手が人妻でも一晩限りなら

相手が人妻でも一晩限りなら

「もう会わない方がいいです。奥様は不倫しちゃだめです。すべて壊れますよ」

人妻の亜依さんに訣別のメールを送ったのは昨晩のことだ。
あれから十五時間ほど経つけど、今のところ返事はないから、これで終わるかもしれない。

今の僕の心境をはっきりと書くのは、正直難しい。
亜依さんに訣別のメールを送ったことに後悔はしていないが、未練があるのも事実。
今ここに亜依さんがいたら。あのふくよかな女体がすぐそばにあったら、僕は有無をいわせず抱きつくだろう。
でもこれ以上不倫を続けるのは危険だし、心苦しい。
正直揺れている。

今日この体験談を書こうと思ったのは、そんな自分の気持ちを整理するため。
亜依さんとの短い交際のあらましを体験談にして、区切りを付けたいと思ったんだ。

亜依さんと出会ったのは某大手出会い系サイト。
猛暑がなりをひそめた九月の中旬、同じ出会い系で知り合った女子大生のセフレと別れてすぐのことだった。

僕が出会い系を使う目的は常にセフレ探し。
性欲の解消しか頭にない。
好きなときにセックスさせてくれる女性であれば、年齢や容姿にこだわりはない。

でも伊那市に住む亜依さんからメールをもらったときはやや躊躇したね。
思わず口にしたよ。

「人妻かあ」

たまたまかもしれないけど、人妻と出会ったことは過去一度もない。
サイトでそれっぽい女性を見かけたことはあったけど、旦那がいると会いにくいという思いから、無意識的にスルーしていた気がする。
だからそのメールも無視するか、丁重に断ればよかったのだけれど、亜依さんには男を惹きつける魅力にあふれていた。
この女性と寝てみたいって強く思ったよ。
相手が人妻でも、一晩限りのセックスで別れたら問題にはならないだろう。
そんな思いで、亜依さんに一度会いましょうとメールした。

亜依さんは伊那市の人。
名古屋から移住してきてまだ二か月。ご主人と三歳になる女の子との三人暮らし。
僕は松本だから車でそう遠くない。

待ち合わせは伊那公園近くのレストラン。
車で接近したら、レストラン近くの歩道でぶらぶらしてる女性が見えた。どうやら亜依さんらしい。

―何やってんだー

とても不自然に見える。気取った感じで、モデルのように誰かの視線を意識している。
まるでナンパ待ちだ。

―この田舎町でナンパ待ちもないだろう―

車を停めたら、亜依さんがゆっくり近寄ってきた。車の車種とナンバーは教えてあった。

「こんにちは」

「よろしくお願いします」

色っぽい目線にそそられる。
今すぐ抱きたいと思う。
これから食事することになっているけど、ご飯が喉に通りそうもない。
事実、何を食べているのかわからなかった。
亜依さんは常に色っぽい視線を僕に向けていた。

「これからどうしましょうか」

一応そう聞いたけど、無駄な質問だったかもしれない。二人がなすべきことはひとつしかない。
亜依さんを車に乗せて国道を走る。

「ホテルでいいですか?」

ナビを見ながらそう聞いた。

「自宅でも構いません」

これには驚いた。男好きの不倫女とはいえ立場は主婦。
自宅に堂々と男を連れ込むことが簡単にできるのか。

「今日は夕方まで一人ですから」

週末になると、ご主人は娘さんを連れて名古屋の実母に会いに行く。
肺を患って入院中で、孫娘の顔を見ると生きる希望が湧くらしく毎週でかけていく。
最初は亜依さんも一緒だったけど、おふくろに無理に会わなくていいと言われ、行かなくなったとのこと。
亜依さんは義母との折り合いが悪い。

「車はここに停めてください」

役所の広い駐車場。
そこから百メートルほど先に自宅がある。

ふだん使ってない部屋に布団を敷き、からみあった。

「あっ、ああん・・・・ううっ、いや・・・・」

素晴らしい身体だった。
これが人妻の味か。
僕はその身体に完全に狂ってしまった。

二回連続の激しいセックスのあと、亜依さんが髪を整えながらこう言う。

「定期的に会ってほしいんです。土曜日の午後は私の貴重な自由時間だから充実させたい」

昼間だから一晩限りという言い方はおかしいけど、今日だけの危険な関係を考えていただけにとまどった。
でもこの身体は捨てがたい。
あと二、三回は抱いてみてもいいと思う。
僕はOKした。

帰り際に居間を歩いたとき、ヨーロピアンな飾り棚の中に家族写真が置いてあるのを見た。
その写真の亜依さんに驚く。
とても清楚で知的な眼差しで、色っぽいしぐさでフロントブラのホックを止める亜依さんとは全く別人。
どちらが本当の亜依さんなのだろうと思ったけど、どうでもよかった。
亜依さんの身体をいただけたらそれでいい。

亜依さんはクリトリスを丹念に舐められるのが好きだった。
それは一種の性癖に近いものがあって、前戯の際には必ず要求してきた。

「夫は舐めてくれないから」

と甘えた目をして僕の頭をつかみ、クリトリスに導く。

亜依さんとは四回会った。

昨日が五回目のはずだったけど、冒頭で書いたように訣別のメールを送ったんだ。
正直、怖くなったよ。
僕はやっぱり人妻が苦手だってことがわかった気がする。
セックスは三度の飯より好きだけど、人妻はどうかって思う。

写真に写っていたご主人はとても優しそうな人だった。
実直で堅実なだけで、クリトリスをペロペロ舐めるような男じゃないのかもしれないけど、夫としては最高だと思う。
そのご主人がかわいそうだと思ったんだ。

今スマホを確認した。
亜依さんからのメールだった。せっかくだからそのまま書き写してみる。

「あと一回だけでいいから会いたい。楽しみたい。寂しくてしかたない」

なんかまた気持ちが揺れだした・・・。

読者の方、ごめんなさい。
ぜんぜん気持ちの整理になってないね。

もう一回会うかどうか、考え直してみる。

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